Next.js ドラフトモードとは？公開前のコンテンツを安全にプレビューする

Next.jsのドラフトモードは、Webサイトのコンテンツを公開する前に、安全かつリアルタイムに近い形でプレビューするための強力な機能です。通常、Next.jsはページをビルド時に静的に生成し、高速な表示を実現します。しかし、ブログ記事や新着情報など、頻繁に更新されるコンテンツの場合、公開前に変更内容を確認したいというニーズが生まれます。ドラフトモードは、このような要件に対応し、公開前のコンテンツを本番環境に影響を与えることなく確認できる環境を提供します。これにより、コンテンツの品質を向上させ、レビュープロセスを効率化することが可能になります。Next.js 13.4以前はプレビューモードと呼ばれていました。

ドラフトモードの仕組み：一時的な静的生成の無効化とCookieの役割

Next.jsのドラフトモードがどのように機能するのか、その本質的な原理を理解しましょう。ドラフトモードは、特定のAPIルートを介して有効化されます。このAPIルートが呼び出されると、Next.jsはリクエスト元のブラウザに特別なCookie（__prerender_bypass および __next_preview_data）を設定します。

これらのCookieがリクエストに含まれている場合、Next.jsは通常静的に生成されるはずのページ（特にgetStaticPropsを使用しているページ）に対して、一時的に静的生成を無効化します。代わりに、そのリクエストがあった時点でサーバーサイドで最新のコンテンツデータをフェッチし、ページをレンダリングします。これにより、公開されていない最新のコンテンツを表示できるわけです。ドラフトモードを終了するには、別のAPIルートでこれらのCookieをクリアします。セキュリティを考慮し、ドラフトモードの有効化にはシークレットトークンを使用することが推奨されます。getStaticPropsのコンテキストでdraftModeプロパティがtrueになることで、ドラフトコンテンツを条件付きでフェッチできます。

実践的な活用：ヘッドレスCMS連携とコンテンツ制作の効率化

ドラフトモードは、特にヘッドレスCMS（Contentful, Sanity, DatoCMS, microCMSなど）を利用したコンテンツ管理において真価を発揮します。CMSで新しい記事やコンテンツを作成した後、公開ボタンを押す前に、Next.jsアプリケーション上でその変更がどのように表示されるかを正確に確認できます。

これにより、コンテンツ編集者は、実際にサイトに公開された際の見た目をリアルタイムに近い形で把握できるため、レイアウトの崩れや誤字脱字といった問題を事前に発見しやすくなります。開発者にとっても、本番環境へのデプロイを待つことなく、新しいコンポーネントやデザインが既存のコンテンツにどのように影響するかを確認できるため、開発サイクルが短縮され、チーム全体のコラボレーションが促進されます。結果として、高品質なコンテンツをより迅速にユーザーに届けることが可能になります。

まとめと今後の展望：より柔軟なWebサイト運営へ

Next.jsのドラフトモードは、静的サイトの高速性と、動的なコンテンツプレビューの柔軟性を両立させる画期的な機能です。公開前のコンテンツを安全かつ効率的にプレビューできるこの機能は、コンテンツ制作とWebサイト運用における多くの課題を解決します。ヘッドレスCMSとの組み合わせにより、コンテンツ編集者、マーケター、開発者が連携しやすくなり、質の高いWebサイトを継続的に提供するための強力なツールとなります。今後も、Jamstackアーキテクチャが進化する中で、ドラフトモードのような機能は、Webサイトのユーザーエクスペリエンス向上と開発ワークフローの最適化において、ますますその重要性を増していくことでしょう。